信託に関するよくある質問
Q.信託とはなんですか?
A.信託とは、委託者が、受益者の利益のために、委託者の有する財産(信託財産)の
管理・処分等を受託者に委ねる制度です。
信託は、①信託契約による方法、②遺言による方法、
③公正証書などによってする意思表示による方法の3つの方法が認められています。
Q.信託の歴史・起源を教えてください。
A.中世ヨーロッパに起源があるとされています。
十字軍の兵士となった貴族等は、長期間、所有地を離れることになりました。
そこで、残った家族のために、所有地を信頼出来る友人等に管理運用をしてもらい、
そこから生まれた収益を兵士の家族のために渡してもらいます。
当時の封建制度のもとでは、土地の処分等が厳しく規制されていたようです。
また、遺言によって、長子以外の子供に財産を承継することもできなかったようです。
そこで、十字軍の兵士となった貴族等(委託者)は、信頼出来る友人等を受託者として
土地を信託しました。
受託者が信託目的に基づいて土地の管理運用を行います。
Q.信託の登場人物を教えてください。
A.主な登場人物は下記のとおりです。
≪委託者≫
自らの財産を信託財産として拠出し、信託行為を通じて、信託目的の設定を行う者です。
≪受託者≫
信託目的に従って、信託財産の管理又は処分をすべき者です。
≪受益者≫
信託財産から生じる経済的利益を受ける者です。
≪信託監督人≫
受益者のために受託者を監視・監督する者です。
≪受益者代理人≫
受益者に代わって、受益者の権利を行使する者です。
≪信託管理人≫
受益者が存在しない場合に、受益者の権利を行使する者です。
≪受益者指定権者≫
受益者を指定又は変更する権利を有する者です。
≪同意者・指図権者≫
受託者による信託財産の管理・処分について、同意又は指図する権利を有する者です。
Q.
民事信託とはなんですか?
A.民事信託とは、営利を目的としない信託のことをいいます。
これに対して、営利を目的とする信託のことを【商事信託】といいます。
少子高齢化社会などの進展にともなって、民事信託が注目されるようになっています。
【民事信託】の中でも、家族・親族を受託者として財産管理を任せる信託を【家族信託】
と呼んでいます。
Q.民事信託の活用例を教えてください。
A.下記のような活用例があります。
≪福祉型信託≫
高齢者・障害者等の生活のサポートをすることができます。
≪生活再建支援型信託≫
アルコール依存症・ギャンブル依存症等で財産管理が困難な方の財産管理のサポートを
することができます。
≪不動産管理信託≫
不動産の管理を目的とする信託です。高齢などの理由により、自己所有の不動産を自ら管理
することが難しい場合などに、不動産管理のサポートをすることができます。
≪跡継ぎ型遺言信託(受益者連続型信託)≫
受益者が死亡した場合に、その受益者の受益権が消滅して、他の者が新たな受益者となる旨の
定めがある信託のことをいいます。
ただし、信託期間は、信託がされた時から30年を経過した時以後に現に存する受益者が受益権を
取得した場合であって当該受益者が死亡するまで又は当該受益権が消滅するまでの間、その効力
を有するとされています(信託法第91条)。
従って、30年を経過した後は、受益権の新たな承継は一度しか認められないこととなります。
≪ペット信託®≫
飼い主に万が一のことがあった時に、残されたペットが不自由なく幸せな生活を送るための信託です。